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EAを利用していると、「バージョンアップのお知らせ」が届くことがあります。
新しいバージョンと聞くと、以前より性能が高くなったものや、すぐに更新した方がよいものを想像するかもしれません。しかし、EAのバージョンアップに含まれる変更は一様ではありません。不具合の修正や動作環境への対応もあれば、売買ロジックやパラメータなど、取引の内容に関わる変更が含まれる場合もあります。
そのため、バージョン番号が新しくなったことだけで、EAの特徴や成績を判断することはできません。まず確認したいのは、「何が変更されたのか」と、その変更後にどのような検証が行われているのかです。
この記事では、EAのバージョンアップによって変わる可能性がある内容を整理し、変更前後のバックテストやフォワード実績をどのように確認すればよいのかを解説します。
目次
- EAのバージョンアップには、さまざまな変更がある
- 「ロジック」と「パラメータ」の違い
- EAの成績は「バージョンと条件」に対応している
- 同じEA名でも売買条件が変わる場合がある
- バージョンアップ前後の数字だけを単純に比較しない
- 直近の相場に合わせた変更を見るときの注意点
- バージョンアップ情報を見るときの4つのポイント
- 「新しい=優れている」「変更した=良くない」ではない
- まとめ
EAのバージョンアップには、さまざまな変更がある
EAのバージョンアップと一口にいっても、その内容はさまざまです。主な例として、次のような変更が考えられます。
- プログラム上の不具合の修正
- MT4などの動作環境や仕様変更への対応
- 注文処理や表示機能などの改善
- 取引時間や各種フィルターの設定変更
- パラメータの変更
- エントリーや決済に関わる売買ロジックの変更
たとえば、画面表示の修正と、エントリー条件の変更とでは、EAの売買に与える影響が異なります。不具合の修正であっても、その不具合が注文や決済に関係していた場合には、修正前後で取引結果が変わる可能性があります。
一方、バージョン番号が変わっていても、売買条件そのものには変更がなく、動作環境への対応や操作性の改善が中心となる場合もあります。したがって、「バージョンアップ」という名称だけから影響を判断するのではなく、更新履歴や変更内容を確認することが第一歩になります。
「ロジック」と「パラメータ」の違い
EAの変更内容を見る際に押さえておきたいのが、「ロジック」と「パラメータ」の違いです。
ロジックとは、どのような条件で新規注文を出し、どのような条件で決済するのかといった、EAの売買ルールを指します。相場の方向をどのように判定するのか、どの時間帯に取引するのか、複数の条件をどの順番で組み合わせるのかなども、ロジックに関係します。
パラメータは、そのロジックで使用される数値や設定値です。たとえば、テクニカル指標の計算期間、値幅、取引時間、損切りや利益確定に関する設定などが該当する場合があります。
ロジックが同じでも、パラメータを変更すると、注文が出るタイミングや取引回数、保有時間、損益の出方が変わることがあります。また、一部の条件を追加または削除すれば、名称が同じEAであっても、変更前とは異なる取引が行われる可能性があります。
ただし、ロジックやパラメータを変更すること自体が、直ちに問題になるわけではありません。確認したいのは、変更の有無だけではなく、変更した理由、影響する範囲、変更後の検証内容です。
EAの成績は「バージョンと条件」に対応している
EAのバックテストやフォワード実績は、特定のプログラム、ロジック、パラメータ、取引条件を前提として得られた結果です。
ロジックやパラメータが変更された場合、変更前のEAと変更後のEAでは、成績を生み出した条件が同じとは限りません。そのため、変更前の長期バックテストやフォワード実績を、変更後のEAの実績としてそのまま扱えるとは限らない点に注意が必要です。
これは、変更前の実績がすべて意味を失うということではありません。変更前の実績は、その時点のバージョンと条件における記録として確認できます。変更後のEAについては、変更後の条件で行われた検証結果と分けて整理することが重要です。
バックテストとフォワードテストの違いについては、「フォワードテストとは?EA選びで確認したい実運用データ」もご覧ください。
同じEA名でも売買条件が変わる場合がある
具体的な例で考えてみましょう。
あるEAが、移動平均線などのテクニカル指標を使ってエントリーのタイミングを判定しているとします。バージョンアップによって指標の計算期間や判定条件が変更されると、同じ相場データを使っても、変更前とは異なるタイミングで注文が出る可能性があります。
その結果、取引回数、保有時間、勝率、平均利益・平均損失、最大ドローダウンなども変わることがあります。EAの名称が同じであっても、変更の内容によっては、過去の成績と現在の仕様をそのまま連続したものとして見にくくなる場合があります。
反対に、表示上の不具合を修正しただけで、売買条件や注文処理に影響がない場合には、成績の前提が大きく変わらないことも考えられます。この違いを見分けるためにも、単に新旧のバージョン番号を比べるのではなく、実際の変更箇所を確認します。
バージョンアップ前後の数字だけを単純に比較しない
変更前と変更後の成績を比較するときは、同じ相場データと取引条件で検証されているかを確認します。テスト期間、通貨ペア、ロット設定、スプレッド、手数料などが異なれば、プロフィットファクター(PF)、勝率、総損益などの差には、更新内容だけでなく検証条件の違いも含まれる可能性があります。
また、変更前のバージョンには長期間の実績があり、変更後のバージョンには短期間の実績しかない場合、取引回数や経験した相場環境も異なります。変更前後の数字を並べるだけではなく、どのバージョンを、どの期間と条件で検証した結果なのかを対応させて確認します。
EAの成績を確認する順序については、「EA評価の実践チェックリスト|検証条件から実運用まで5つの確認軸」もご覧ください。
直近の相場に合わせた変更を見るときの注意点
EAでは、最近の相場や直近の成績を受け、ロジックやパラメータが調整される場合もあります。特定の期間に合わせて条件を調整すると、その期間では成績が改善して見えることがありますが、別の相場環境でも同じ傾向が続くとは限りません。
ただし、直近の状況を踏まえた変更が一律に不適切というわけでもありません。変更の理由と対象が明らかになっているか、変更後の条件で複数の期間や相場環境を使った検証が行われているかを分けて確認します。
過去データへの合わせ込みと過剰最適化については、「バックテストだけのEAで失敗しないために知っておきたいこと」もご覧ください。
バージョンアップ情報を見るときの4つのポイント
EAのバージョンアップについて確認するときは、次の4つの観点に整理すると分かりやすくなります。
1.何が変更されたのか
不具合修正や動作環境への対応なのか、注文処理、売買ロジック、パラメータなど、取引結果に関係する部分の変更なのかを確認します。変更履歴が公開されている場合は、対象となる機能や条件も確認します。
2.変更前の実績は、どの条件の記録なのか
変更前のバックテストやフォワード実績が、どのバージョンと設定によるものかを確認します。複数のバージョンの実績が一つの損益曲線に含まれている場合は、どの時点で仕様が変わったのかも確認したいところです。
3.変更後の条件で検証されているか
変更後のEAについて、バックテストの期間、取引回数、取引条件などを確認します。フォワード実績がある場合は、変更後のバージョンで運用された期間がどこから始まるのかを確認します。
4.成績とバージョンの対応関係が分かるか
成績の数字を見るときは、「どのバージョンか」「どの設定か」「どの期間か」をセットで確認します。変更前と変更後のデータを分けることで、それぞれの条件でどのような取引が行われたのかを把握しやすくなります。
「新しい=優れている」「変更した=良くない」ではない
バージョンアップには、不具合の解消や動作環境への対応など、EAを継続して利用するために必要な変更が含まれる場合があります。一方で、ロジックやパラメータが変われば、過去の成績との関係を改めて確認する必要が生じることもあります。
したがって、新しいバージョンであることだけを理由に、以前より優れていると判断することはできません。同様に、バージョンアップが行われたという事実だけから、そのEAに問題があると判断することもできません。
重要なのは、バージョン番号そのものではなく、変更内容と検証条件、そして公開されている成績がどのバージョンに対応しているかです。一つの数字や短期間の結果だけではなく、変更前後の条件を分けて確認します。
まとめ
EAのバージョンアップには、不具合修正、動作環境への対応、機能改善、ロジックやパラメータの変更など、さまざまな内容があります。同じ「バージョンアップ」でも、売買や成績に与える影響は変更箇所によって異なります。
特にロジックやパラメータが変更された場合は、変更前のバックテストやフォワード実績を、変更後のEAの実績としてそのまま扱えるとは限りません。ただし、変更前の実績が無意味になるわけではなく、変更前の条件における記録として、変更後の検証結果と分けて確認できます。
EAのバージョンアップを見る際は、変更理由、変更箇所、変更後の検証内容、成績とバージョンの対応関係を確認します。「新しいから良い」「変更したから良くない」と一律に捉えず、どの条件で得られた情報なのかを整理することが大切です。
詳しくは、「FEAT 3.0サービス紹介ページ」をご覧ください。
→ 関連用語を確認したい方:用語集(https://www.forex-exchange.co.jp/support/vocabulary)
→ よくあるご質問:FAQ(https://www.forex-exchange.co.jp/support/faq/)
監修:株式会社トリロジー
金融商品取引業 近畿財務局長(金商)第372号
一般社団法人 資産運用業協会 022-00269
本記事は、株式会社トリロジーの監修を受け、FOREX EXCHANGEが表示するものです。なお、監修会社である株式会社トリロジーは、EAナレッジ全体の監修を行っております。本記事は一般的な技術解説を目的としており、個別のEAの推奨や投資助言を行うものではありません。本記事で示す内容は過去のデータおよび一般的傾向に基づく参考情報であり、個別のEAの優劣や将来の運用成果を保証するものではありません。EAを利用したFX取引では、元本を割り込む損失が生じる場合があります。お取引にあたっては、契約締結前交付書面および約款を十分にご確認ください。