EAは「成績」だけで選ぶと失敗する理由
著者:FOREX EXCHANGE株式会社 監修:株式会社トリロジー

EAは「成績」だけで選ぶと失敗する理由

プロフィットファクターや勝率、最大ドローダウン。ここまでの記事で、EAを評価するための指標をひとつずつ見てきました。ただし、これらの数字をすべて確認したとしても、それだけでEA選びが安全になるわけではありません。数字の裏側にある「作られ方」まで見なければ、良い成績に見えるEAを選んだつもりが、思わぬ落とし穴にはまることがあります。 

高勝率は、必ずしも低リスクを意味しない 

勝率が高いEAは、成績表の最大ドローダウンの数値(%)も小さく表示される傾向があります。これは、高勝率型のロジックの多くが、利益を小さく積み重ねる代わりに、まれに発生する大きな損失を許容する設計になっているためです。運用が順調に進んで資産(イニシャルデポジット)が積み上がるほど、同じ金額の損失であっても、資産全体に対する割合としては小さく見えるようになります。 

つまり、勝率が高く、ドローダウンの数値(%)が小さく見えるEAほど、実際にはその裏にある「一度に発生しうる損失の大きさ」を、数値だけからは正しく評価できていない場合があります。勝率という一つの数字の良さに引っ張られると、この構造を見落としがちです。 

美しい資産曲線には、いくつかの「作り方」がある 

バックテストの資産曲線(エクイティカーブ)が右肩上がりに見えるからといって、それだけで優秀なロジックとは限りません。 

代表的な例が、「ナンピン・マーチンゲール」と呼ばれる手法です。含み損を抱えたポジションを決済せずに、同じ方向へさらに買い増し(または売り増し)を続け、相場が反転したタイミングでまとめて利益に変えるという考え方のロジックです。この手法の特徴は、買い増すたびにロット数(取引量)を倍々に増やしていく点にあります。相場が反発することを前提に、含み損を抱えた状態でもポジションを積み増していく設計が多く見られます。たとえば1回目1ロット、2回目2ロット、3回目4ロットと増えていくと、たった2回買い増しただけで合計7ロット、最初の7倍の資金を投じている計算になります。 

この方法では、相場が想定通りに反転を繰り返している間は、確定損益ベースで見るとなめらかな右肩上がりの資産曲線を描くことができます。しかし、相場が反転せずに一方向へ動き続けた場合、損切りをしない前提で買い増しを続けているため、含み損はロットとともに膨らみ続けます。小さな利益を何度も何度も積み重ねて作り上げてきた右肩上がりの資産曲線が、たった1回の大きなトレンド相場で崩れることがあります。初期のロット数と、公開されている直近の買い増し時点でのロット数を見比べると、実際にどれだけ資金を積み増して曲線を作っているかの手がかりになります。 

なお、似た言葉に「グリッド型」がありますが、これはナンピン・マーチンゲールとは異なる設計です。含み損を追いかけて買い増すのではなく、あらかじめ決めた一定の値幅ごとに、機械的にポジションを配分していく仕組みです。ロットを倍々に増やさない設計であれば、ナンピン・マーチンゲールほどの破綻リスクは抑えられますが、相場が一方向に大きく動いた場合には、複数保有しているポジションの含み損が同時に膨らみやすいという特徴があります。成績の数字だけでなく、そのEAがどちらの設計に近いのかを把握しておくことも、判断材料のひとつになります。 

バックテストとフォワードの、その先を見る 

バックテストの成績が良好でも、フォワード(実運用)に入った途端に勝率やペイオフレシオ(平均利益と平均損失の比率)が低下するEAは少なくありません。特に注意したいのが、バックテストで公開されている検証期間が、値動きの小さい相場に偏っている場合です。たとえば、大きな相場変動があった時期を検証期間から外し、比較的穏やかだった期間だけを切り取っている場合、直近の相場にだけ最適化されている可能性があり、値動きの大きな相場に切り替わった際に成績が崩れやすくなります。 

もう一つの確認ポイントが、最大ドローダウンがフォワードで更新されていないかどうかです。バックテスト時点の最大ドローダウンを、フォワード運用時のドローダウンが上回っている場合、そのEAが過去に経験していない規模のリスクに、実運用で初めて直面していることを意味します。 

成績以外に見ておきたいこと 

すべてを一度に確認する必要はありませんが、少なくとも次の点は見ておくと安心です。 

  • EA開発元の情報が公開されているか。素性の分からない開発元のEAは、性能そのものよりも「宣伝文句」で売買を促すケースが見られます
  • 「期間限定」「本数限定」といった、性能とは無関係な訴求で購入や利用を急がせていないか
  • トレードロジックの数が公開されているか。複数のロジックを寄せ集めることで、見かけ上の成績を底上げしているケースもあります
  • バックテスト・フォワードともに、十分な期間のデータが公開されているか(目安として、バックテストは10年程度、フォワードは1年程度が一つの基準とされています)

複数の視点を組み合わせて確認することが、成績の数字だけでは見えないリスクを減らす一番の近道です。 

まとめ 

プロフィットファクターや勝率、最大ドローダウンは、EAを評価するうえで欠かせない指標です。ただし、それぞれの数字は「どう作られたものか」という背景まで含めて見る必要があります。高勝率の裏にある損失の大きさ、資産曲線が作られた経緯、バックテストとフォワードの乖離、開発元の透明性。こうした背景を合わせて確認しておくと、成績表の数字だけでは見えてこないリスクに気づきやすくなります。 

FEAT 3.0では、数字だけで判断するのではなく、お客様ご自身で比較・検討いただけるよう、各EAのバックテスト結果とフォワード成績の両方を公開しています。どのEAを選ぶかの判断はお客様自身に委ねています。詳しくはFEAT 3.0サービス紹介ページをご覧ください。(https://www.forex-exchange.co.jp/feat/ 

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監修:株式会社トリロジー 
金融商品取引業 近畿財務局長(金商)第372号
一般社団法人 資産運用業協会 022-00269 

https://www.trgy.co.jp/

本記事は、株式会社トリロジーの監修を受け、FOREX EXCHANGEが表示するものです。なお、監修会社である株式会社トリロジーは、本文中で紹介しているEAの開発会社でもあります。本記事は一般的な技術解説を目的としており、個別のEAの推奨や投資助言を行うものではありません。本記事で示す数値・基準は過去のデータおよび一般的傾向に基づく参考情報であり、個別のEAの優劣や将来の運用成果を保証するものではありません。EAの利用には元本を割り込むリスクを含みます。FX取引にはリスクが伴います。お取引にあたっては契約締結前交付書面および約款を十分にご確認ください。